ブレジンスキーの重大発言

ソ連のアフガン侵攻はカーター政権がしむけた!!

 ウィリアム・ブルムの『ならず者国家 世界唯一の超大国ガイド』(William Blum: Rogue State A Guide to the World's Only Superpower / Common Courage Press)は、ムミア・アブジャマールの最近の論考「次はイラクだ」でも引用されています。
 著者のブルム氏は、元国務省に勤めていたが、ベトナム戦争に反対して在野のジャーナリストとなった人で、この本は、アメリカの暗部エンサイクロペディアとも言うべき必読の書です。
 その序文はブルム氏のホームページに全文アップロードされていますが、その中に、元カーター米大統領の国家安全保障問題顧問だったズビグニュー・ブレジンスキーの重大発言が引用されていたのを読んで、ほんとうに驚きました。

 フランスの週刊誌『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』の記事からブルム氏が英訳して引用した一節で、ブレジンスキーは、米国がソ連のアフガン侵攻のあとに アフガンに軍事援助を行ったというのは嘘で、ソ連より半年前にムジャヒディンを援 助してソ連が介入せざるを得ない状況に持ち込んだのであり、ソ連がアフガンに侵入 した日に自分はカー ターに、これで我々はソ連にベトナム戦争をさせることができるようになった、と いう内容の手紙を書いたなどと、自ら語っています。
 この記事の全文は、最近出版された『非戦』(坂本竜一編 幻冬舎)にも「アフガンのイスラムはワシントンが作り上げた」と題して、ブルム氏の英訳からの重訳が収録されています。また、昨年末に木村愛二氏も「亜空間通信」で、氏が仏語から直接訳したものを掲載しました。なお、元の記事の掲載されているル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥールは、米国には国際版と称する一部の記事をカットしたバージョンしか入ってきません(同誌は、無削除の国内版と、一部の記事をカットした国際版があり、国際版が一部をカットしているのは、雑誌を軽量化して航空運賃を安くするためですが、この記事を削除したとき、航空運賃がいい弁明になった恐れはあります。連邦議会図書館には無削除完全バージョンが入るので、ブルム氏は、完全版から訳しています。なお、『非戦』で、ブルム氏が取材・構成したと書いていますが、これはあくまでル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥールの記事で、ブルム氏が取材・構成したものではありません)。

 ブルム氏の言わんとするところは、 なによりも、アメリカというのは、こういう大がかりな陰謀もたくらむ国なのだということです。
 と同時に、アメリカがあ れだけ昔から「国際的共産主義の陰謀」などと騒いでいたのは、いったい何だったんだ、ということです。
 アメリカこそが、陰謀を用 いてソ連に余計な戦争をさせて国力を低下させ、それが原因で結局 ソ連が自ら社会主義体制を捨てたのですが、そのとき、ゴルバチョフの決定に反逆できるような「国 際的陰謀組織」など、どこにも存在しなかったのです。

 今、アフガ ンからさらに次はソマリアかイェメンか、イラクかなどと言っているのも、自分の悪 業をごまかすために、人を惑わせる虚像に向かって吠えているだけ ではないでしょうか。

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