グァンタナモの捕虜は捕虜じゃない??
いよいよ図に乗るブッシュ政権


 年頭「脅書」で、イラク・イラン・朝鮮民主主義人民共和国は悪の枢軸などと、調子づいてる、北米モンキー(アフリカやインドや南米に、あんなひどい猿はいません。お猿さんの名誉のために)。
 キューバ、グァンタナモの米国海軍基地(敵国に基地を持つとはさすがです)に収容されているアフガンその他諸国の捕虜を、あれは捕虜ではないからジュネーヴ条約は適用されない、と言っていましたが、こんどは、 ジュネーヴ条約は適用するが、待遇は変えない、だとか、条約は適用するが、タリバンだけが捕虜で、アルカイダは国家の軍隊ではないから捕虜ではない、とか、勝手にいろいろ決めはじめました。
 そもそも、キューバに捕虜を収用するというのは、あそこなら国外だから、米国憲法が適用されないという、まことに、うさん臭い理由によるものでした。今は、国際法の適用を免れようとして、それがだめだから、今度は、国際法の適用はするが、実際上の待遇は変えない・・・いったい、そういうことが成り立つのかどうか。
 以下は、「ジュネーヴ条約は適用されない」と言っていた時点でのブッシュ政権の主張を、当のジュネーヴ条約にきちんと突き合わせて検討した、WSWS(国際社会主義者ウェブサイト)の記事です。
 これを見ると、どう言いくるめようとも、モンキーの国際法違反は変わらないことが、ハッキリします。彼がいかに「朕は国家なり」(朕は法なり、朕は地球なり・・・)的思い上がりに膨れあがっているか、露骨に感じられて、こっちが喉にクラッカーが詰まりそうだ!!

白を黒と言いくるめるブッシュ政権の詐術
嘘に嘘を重ねてジュネーヴ条約違反を正当化

ケイト・ランドール
2002年2月5日
(世界社会主義者ウェブサイト)

 グァンタナモの158人の囚人に対する米国の扱いは、世界中に衝撃と反発を引き起こしている。基地に到着した捕虜を地面にひざまづかせ、黒いゴーグルをかけさせ、手を背中に回して手錠をかける様子は、ラテンアメリカの軍事独裁政権が反体制派に対して行った所業を思い起こさせる。

 しかし、X線基地に対する批判が高まるなか、米国は、これらの捕虜たちを「抑留者」であって、ジュネーヴ条約にもとづく保護の対象となりうるような捕虜ではないと言い張り続けている。それどころか、野ざらしの、一人一人がコンクリートと鎖状フェンスでできた檻に入れられたこの捕虜たちを、ブッシュ政権の閣僚らは、情け深く扱われている、「太陽の降りそそぐキューバ」にいて満足だろうなどと言っているのだ。

 最近の声明の中でブッシュ大統領は、ジュネーヴ条約の規則をグァンタナモの囚人に適用することを考えていると述べたが、これは言葉の上の変化であって、実体としてはその政策に変わりはない。ブッシュとラムズフェルド国防長官は、どのような条件のもとでも、グァンタナモの抑留者は戦争による捕虜とはされないと明言しているのだ。彼等は、この捕虜たちを「非合法戦闘員」だとする立場を変えておらず、この「非合法戦闘員」は、ブッシュらの都合しだいで尋問も拘留も無制限にできる。

 国際的に高まる批判に応えて、コリン・パウエル国務長官は、先週マスコミに洩れた覚え書きの中で、グァンタナモの捕虜の処遇を決定する過程でジュネーヴ条約を適用することを考慮するようブッシュ政権に要求した。統合参謀本部の幹部らも、米国の政策変更を支持していると報じられた。しかし、これらの見せかけのそぶりも、これまた徹底的な偽善であり、囚人の市民的自由に対する人道的な配慮にもとづくものでは決してない。

 軍の幹部が何より気にかけているのは、米国の政策が前例となって、将来、米国兵が捕虜となったときに非人道的な扱いを受けることにならないかということだ。そこで、パウエルは、ブッシュ政権の国際法侮蔑が、欧州の同盟国や中東諸国の間で、米国の信用を落とすことを懸念しているが、にもかかわらず、捕虜たちには決して戦争捕虜の処遇を与えてはならないと言明しているのである。

 「問題は、じつは、彼等が戦争捕虜かどうかではない」と、国務省のある高官が語ったことを、ニューヨークタイムズは伝えている「彼等は、戦争捕虜ではない。問題は彼等がなぜ戦争捕虜ではないかという点にある」。言い換えれば、パウエル、そしてラムズフェルトをはじめ、ブッシュ政権の面々がジュネーヴ条約による裁判(当然、戦争捕虜の身分を決定するための法廷を用いるはず)を行うことを考えているのは、予め決定しておいた結論に到達するためだということだ。

 ワシントンポストは、政府のある高官が匿名で同じことを語ったと伝えている「我々にはすでに結論はわかっている。彼等は戦争捕虜ではないということだ。今問題なのは、なぜ彼等が戦争捕虜ではないかだ」。ホワイトハウスその他、この政府の諸部局からなされる発言はすべて、こうした偽善に満ちており、変わらず残虐な政策をとりつづけながら、世論を煙にまいてごまかそうとしているのだ。ブッシュ政権はまた、一般の米国民がジュネーヴ条約の内容を知らないのにつけこんで、言葉の詐術と露骨な嘘に頼って、自分を正当化しようとしている。

 嘘の第一は、米国は同条約に従うか否かを選択することができるというものだ。ジュネーヴ条約第1条が「締約国は、全ての場合において、この条約を尊重し、かつこの条約の尊重を確保することを約束する」(「国際条約集1999年版」有斐閣 以下断らない限り、同書の訳文を使用する)と規定しているのである。また第2条は「この条約は、二以上の締約国の間に生ずるすべての宣言された戦争又はその他の武力紛争の場合について、当該締約国の一が戦争状態を承認するとしないとを問わず、適用する」と規定している。

 米国とアフガニスタンはともに1949年のこの条約の締約国である。ブッシュ政権は「テロとの戦争」を宣告して、アフガニスタンとの戦争に赴いたのであり、公式に、タリバン体制を駆逐することがその目標だと言明したのである。米国は、爆撃を開始し、地上部隊を派遣した。ところが、タリバンを含む敵兵が捕えられると、米国政府は、彼等は戦争捕虜ではないと言い、彼等の処遇は国際法には従わないと言うのだ。

 米国は正式に宣戦布告したのではないから、敵兵も戦争捕虜ではないと米国が言いたいのだとしても、そんな主張は成り立たない。ジュネーヴ条約は、戦争なり紛争の両当事者が戦争状態を認知しなければならないとは規定していないからだ。なによりも、アガニスタンの人々は、何トンもの爆弾を落とされて、国土を荒廃させられたことを、自分達に対して米国が戦争をしかけてきたことの明白な印だと解釈するにちがいないから、米国の主張は噴飯物である。

 ブッシュはまた、「アルカイダは既知の軍隊ではない。彼等は人殺し、テロリストであり、国をもたない」から、彼等は戦争捕虜ではないと言う。ラムズフェルド国防長官は「彼等は、戦争捕虜と見なすわけにはいかない。彼等はそんな者ではないからだ。彼等はテロリストなのだ」と言っている。

 しかし、これらの捕虜について確かめられたことは、彼等が米国のアフガニスン侵攻の中で捕えられたということにほかならない。タリバンとともに戦った者の多くは、米国が戦争を開始してからアフガニスタンに来たのであり、ウサマ・ビン・ラディンともアル・カイダともなんのつながりもないかもしれないのだ。

 ところが、ブッシュ政権は、故意に、グァンタナモの囚人を、タリバンとアルカイダを含むものだと言い、この二つの名称を互いに入れ換え可能なものとして使っている。両者の区別をあいまいにすることで、彼等に戦争捕虜としての扱いを一切認めないことを正当化しようとしているのだ。アルカイダのメンバーならば、戦争捕虜とされる見込みは少ないと計算して、自分達が国際法に露骨に違反している事実を隠ぺいしようと、言葉のトリックに頼っているのだ。

 ジュネーヴ条約第5条は「交戦行為を行って敵の権力内に陥った者が第四条[「捕虜となるもの」についての規定]に掲げる部類の一に属するかどうかについて疑が生じた場合には、その者は、その地位が権限のある裁判所によって決定されるまでの間、この条約の保護を享有する」と述べている。

 言い換えれば、誰が戦争捕虜で誰が戦争捕虜でないかは、連邦政府が決めることではないということだ。しかも、彼等は、その地位が決定するまでは戦争捕虜としての保護を受けなければならないのである。抑留されている者は皆、氏名、軍における階級、認識番号のほかは、情報を提供することを拒否する権利をもっている。のちに裁判所が彼等をテロリストと、あるいは戦争犯罪の裁判を受けるべき被告と判断するかどうかは、彼等が捕まったときに受ける待遇になんの係わりもない。

 ブッシュ政権のもうひとつ根拠のない主張は、グァンタナモの捕虜は、ジュネーヴ条約第4条2項に含まれる戦争捕虜の4つの要件を満たさないから戦争捕虜とは認められないというものである。この第4条2項の4条件とは、上官の指揮下にあること、「固定した識別の印」をもつこと、公然と武器を持っていること、「戦争の法規と慣習」に従って行動すること、である。
[上記は、ランドールの英文記事をそのまま訳した。前記条約集の訳では a)部下について責任を負う一人の者が指揮していること、b)遠方から認識することができる固着の特殊標章を有すること、c)公然と武器を携行していること、d)戦争の法規及び慣例に従って行動していること]

 この4つの項目は、戦争捕虜資格テストの基準として、多数の新聞の記事でまちがって引用されてきた。しかし、ほんとうはジュネーヴ条約により戦争捕虜の地位を与えられる捕獲された兵士というのは、組織的抵抗運動その他の義勇軍の構成員を始め、多くの種類があるのに、これらの要件は、そのうちほんの一種類にしかあてはまらない。民間人、軍人を含め、戦争捕虜となりうる人々の大多数は、これらの条件を満たす必要はないのである。ここでも、米国政府高官は、自分達がジュネーヴ条約の遵守を拒否している事実から人の目をそらそうとして、こうした議論を放棄している。

 実は、アフガニスタンで捕えられた兵士のうち圧倒的大多数は、参加者が明確に限定できない戦闘に加わって捕縛された人達であり、ジュネーヴ条約第4条1項の「紛争当事国の軍隊の構成員およびその軍隊の一部をなす民兵隊又は義勇隊の構成員」という戦争捕虜規定が明らかにあてはまるのである。彼等のほとんど全員が、北部同盟により捕縛されて、米国に引き渡されたのである。アルカイダのメンバーと言われている捕虜も、正規の戦闘部隊として戦った「アラブ旅団」(Arab Brigade)の一員として捕えられた人がほとんどである。

 これも報道されていることだが、捕虜のうちには、グァンタナモに到着するまで、9月11日のテロ攻撃について知らなかった人もいる。これも、彼等が、いかなるテロ組織にも加わっておらず、主として、あまり事情を知らずに北部同盟との戦闘に引き込まれた貧しいムスリムの若者たちであることを示している。

 戦争捕虜と認定するジュネーヴ条約の基準は、非常に幅広く多様である。民間人、技術者、従軍記者、レジスタンス・グループのメンバー、交戦国の一員と認められない民兵もそれに含まれる。

 グァンタナモ米国海軍基地でのジュネーヴ協定違反は、捕虜に対する待遇の面でも見られる。条約第25条は「捕虜の宿営条件は、同一の地域に宿営する抑留国の軍隊についての宿営条件と同様に良好なものでなければらない」と規定している。横2メートル縦2.4メートルの、鎖で結んだ、吹きさらしの檻は、およそこの規定には合格しない。第21条は、「戦争捕虜は、衛生上の保護のために必要な場合のほかは、拘禁してはならず、かつかかる拘禁を必要とするような条件が続く間のほかは拘禁してはならない」(この部分、ランドールの記事から訳)と規定している。

 ジュネーヴ条約が述べている捕虜収容所の生活は、グァンタナモの生活とはおよそかけ離れたものである。第28条は「すべての収容所には、捕虜が食糧、石けん及びたばこ並びに通常の日用品を買うことができる酒保を設備しなければならない」と規定しているし、第38条は「捕虜に対しては、運動競技を含む身体の運動をする機会及び戸外にいる機会を与えなければならない。このため、すべての収容所で充分な空き地を提供しなければならない」(訳文若干変更)と規定している。

 ブッシュ政権の高官は、そんな待遇は「テロリスト」には与えてはならないと反論するだろう。しかし、米国政府は、ジュネーヴ条約第5条の規定する「権限のある裁判所」で捕虜を裁判にかけもしないうちに、勝手に彼等の戦争捕虜の身分を否認しているのである。これはまた、米国政府が捕虜に対して行う尋問は、国際法の対象にならないということを意味する。1月23日には、米国の民間と軍の諸機関から派遣された尋問者がぐぁんたなもの捕虜に対する尋問を開始している。捕虜は個々別々に分断されて尋問を受け、弁護人をあてがわれることもなかった。

 米国が捕虜に戦争捕虜の身分を認めたがらないもうひとつの理由は、ジュネーヴ条約第118条の「捕虜は、実際の敵対行為が終了した後遅滞なく解放し、且つ、送還しなければならない」という規定である。ブッシュ政権は、捕虜を無制限に拘留して、彼等を尋問し、できれば軍事法廷で裁く権利を確保したいのである。米国の支援を受けた政権がアフガニスタンに確立されて、敵対行為がともかく終了したというのに、フッシュ政権は、捕虜を母国に送還するという意思表示は一切していない。

 捕虜の国籍は、英国、オーストラリア、フランス、ベルギー、スウェーデン、アルジェリア、イェーメン、アフガニスタン、パキスタン等、25カ国にのぼる。フランスはグァンタナモに使節団を送って、多数のフランス語を話す捕虜の身元を確認した。オーストラリアは、オーストラリア国籍の捕虜が1名いたので、帰国して裁判を受ける意向があるかを尋ねている。サウディアラビアは国民が100人、グァンタナモに抑留されている。捕虜の約15%はアフガニスタン人である。米国は、これらのアフガン兵士にすら(自国領土内で戦っていて捕捉されたのに)、戦争捕虜の資格を認めない。

 ラムズフェルド国防長官は、1月31日、アフガニスタンからキューバに護送された多数の捕虜は、以前に推計した2000人よりはかなり少ないだろうと述べた。先月末、ペンタゴンは、これ以上捕虜が入ってくると、尋問官と抑留房が必要になると言って、この基地への捕虜の空輸をすべて停止した。

 グァンタナモ湾以外に、米国は、約309人の容疑者をアフガニスタンで軍により拘留している。そのほかに、ラムズフェルドによれば「数千人」が、まだアフガン、パキスタン、および中央アジアの米軍のもとに拘留されている。その多くは、11月中旬以来、間に合わせの拘留施設で恐ろしくひどい条件のもとに置かれており、彼等の窮状は、メディアの注目を受けることがほとんどなかった。

 アフガニスタン北部のシバルガン刑務所には約3500人の捕虜が入れられている。これは、収用能力の10倍を越えており、約2メートル×3メートルの部屋で60人が、冷たいコンクリートの床の上に寝るのである。この刑務所は、昨年11月末に米国の指令下に数百人の戦争捕虜が虐殺されたカライジャンギ刑務所のあるマザリシャリフから約25キロ西にあり、ウズベクの軍閥指導者で、クンドゥズを陥落させ、何千人ものタリバンを捕捉したアブドゥル・ラシッド・ドスタム将軍の根拠地である。

 刑務所長によると、米国の尋問官は(タリバン指導者とアルカイダのメンバーを探して)、12月に数十人の捕虜をシバルガンから移したという。ドスタム将軍の軍の指揮官の一人は、取材記者にこうぼやいた「ここにいつまでもいなきゃならないのか? 誰に聞いてもわからない。我々は単なる兵士だ。タリバン指導者のことなんか知りやしない」

 この刑務所の捕虜もグァンタナモの捕虜と同様、戦争捕虜の身分を認められず、彼等の待遇はジュネーヴ条約による保護の対象ではない。今月初めにシバルガンを視察した人権のための医師団(Physicians for Human Rights)の使節団は、その報告で、「米国は、捕虜の運命に対して影響を与え、あるいはそれを決定することのできる立場に初めからあったのであり、彼等に対する責任を免れることはできない」と書いている。

Defending the indefensible: more US lies on Afghan prisoners and Geneva Convention
By Kate Randall
5 February 2002
http://www.wsws.org/articles/2002/feb2002/pows-f05.shtml

[訳 萩谷 良]

参考 日本の新聞の記事は次のようなもので、これではあんまりよくわからない。

ジュネーブ条約適用、捕虜資格は認めず 米拘束のタリバーン兵
2002.02.08 朝日東京夕刊 2頁
 【ワシントン7日=三浦俊章】ブッシュ米大統領は7日、アフガニスタンで捕らえたタリバーン兵に、戦時における捕虜の待遇を定めたジュネーブ条約を適用することを決めた。ただし、条約を適用しても捕虜とは認められないとの立場で、米軍の拘束下にある兵士たちの処遇に実質的な変化はない。テロ組織アルカイダ兵については、同条約は適用されないとの主張を崩していない。国際社会の非難をうけて、いったん部分的に条約を適用した上で捕虜資格を否定した形だ。
 フライシャー大統領報道官によると、タリバーン兵の場合は、米政府がタリバーンをアフガニスタンの正統な政府として承認していなかったものの、国家としてのアフガニスタンがジュネーブ条約の当事国であることから、条約適用を認めた。アルカイダについては、「国際的なテロ組織であり、条約の当事者ではない」と否定した。
 その上で、報道官は、捕虜として認められるための国際法上の条件として、(1)軍の組織階級への所属(2)軍服などの着用(3)明確に分かる形で武器を携行(4)戦争の法と慣習に従った軍事行動――の4項目を挙げ、タリバーン兵は、一般市民と見分けがつかない格好で、アルカイダのテロを支援していたとして、捕虜の資格を満たしていないとの米政権の解釈を示した。

次の毎日の記事は、朝日より長いくせに、内容はもっとダメ。
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米英アフガン攻撃 収容のタリバン兵に、ジュネーブ条約を適用−−米大統領決定
2002.02.08 毎日東京夕刊 3頁 国際 (全921字) 
 ◇「戦争捕虜」とは認めず−−アルカイダには不適用
 【ワシントン佐藤千矢子】ブッシュ米大統領は7日、アフガニスタンで拘束、キューバのグアンタナモ米海軍基地に収容しているタリバン兵に対し、兵士の人道的待遇や文民の保護を定めたジュネーブ条約を適用することを決定した。一方、テロ組織アルカイダのメンバーには同条約を適用しないことも決めた。ただ、米政府はこれまでも収容した兵士に対して、食事や医療面など人道的配慮をしていると主張、今後の兵士らの処遇に実質的な変化はないという。
 フライシャー大統領報道官が発表した。大統領は兵士らに同条約を適用しない方針を示していたが、欧州諸国などの人権侵害批判の高まりに配慮し、タリバン兵に条約を形式的に適用することを決めたと見られる。
 アルカイダのメンバーに条約を適用しない理由について、報道官は「国際的テロ組織で、ジュネーブ条約でいう国家の部隊ではない」と述べ、紛争当事国の軍隊にあたらないことを指摘した。
 一方、タリバン兵に条約を適用するのは「米国はタリバンをアフガンの正統な政府と認めていなかったが、アフガンはジュネーブ条約の当事国だ」と語った。また、両組織の兵士とも、同条約で取り調べに制限がかかるなど各種権利が保障される「戦争捕虜」としての身分は認めない。
 報道官は、条約が戦争捕虜の条件として(1)軍の組織に所属(2)軍服などと認識できる着衣(3)武器の携行(4)戦争をめぐる取り決めや慣例に従った軍事行動――の4点を規定していると指摘、タリバン兵もアルカイダのメンバーも条件を満たしていないため、「戦争捕虜と認めない」と説明した。
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 ◇ジュネーブ条約  すべての武力紛争における傷病者、捕虜、文民の保護について定めた国際条約。世界のほとんどの国が加入している。同条約のうち「捕虜の待遇に関する条約」は「捕虜は常に人道的に待遇しなければならない」として処遇内容と方法を規定。処刑、拷問、暴行、脅迫、報復行為などは禁止している。捕虜の名前、生年月日、軍隊での地位以外の情報を強制的に入手することも禁じている。
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[用語]ジュネーブ条約
2002.02.08 毎日東京夕刊 3頁
 ◇ジュネーブ条約
 すべての武力紛争における傷病者、捕虜、文民の保護について定めた国際条約。世界のほとんどの国が加入している。同条約のうち「捕虜の待遇に関する条約」は「捕虜は常に人道的に待遇しなければならない」として処遇内容と方法を規定。処刑、拷問、暴行、脅迫、報復行為などは禁止している。捕虜の名前、生年月日、軍隊での地位以外の情報を強制的に入手することも禁じている。

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