◎ A君収容延長決定


東京新聞2002年7月13日朝刊

神戸児童殺傷  当時少年 04年末まで収容
家裁決定異例の公表  遺族への贖罪求める

神戸家裁は十二日、一九九七年の連続児童殺傷事件で少年院に送致した加害者の男性(二〇)=犯行当時(一四)=の収容を二〇〇四年十二月三十一日まで継続する決定をした。審判を開いて男性に収容継続を告知し、決定要旨 を公表した。

井垣康弘裁判官は「矯正と環境の調整のため、(収容期間に含まれる)仮退院後の保護観察期間も併せて、成人になって二年半は継続して少年院に収容するのが相当」との決定理由を示すととも に、被害者の遺族らの意向を確認し、少年院在院中から贖罪(しょくざい)行動を開始させる方針も明らかにした。神戸家裁などによると、こうした方針や決定の詳細な公表は異例という。

当初の五年半の更生プ ログラムでは、男性の収容は来年四月までだったが、現在収容中の中等少年院が継続を申請していた。

決定要旨などによると、男性は九七年十月、医療少年院に送致され、矯正教育を開始。昨年後 半から中等少年院で出院準備教育過程に編入されている。

事件の被害者への謝罪や贖罪の気持ちを持つようになり、集団生活で対人関係のスキルを具体的に学んでいる。精神疾患も明らかに改善している。

しかし、仮退院すれば、多方面から刺激的な情報にさらされて心理的に大混乱を来し、不測の事態を引き起こす不安がある。このため、収容を継続して少年院在院中に(1) (将来の)就労先や精神科医、弁護士などのサポーターとの信頼関係構築 (2)両親との宿泊訓練などによる親子関係の調整 (3)適切な贖罪行動--などが必要という。

継続は妥当な判断
男性に殺害された土師淳君の父守さんの話
「A少年(男性)」の矯正教育の状況は知り得ないが、あれほどの事件を起こし、精神的にも大きな問題を抱えている「A少年」が、わずか五年にも満たない期間で矯正され更生するとはとても思えない。その意味でも少年院での収容継続の決定は妥当な判断だと思う。あとどの程度の期間、矯正教育が実際になされるかは分からないが、退院 については十分な検討が必要ではないかと考える。【代理人、井関勇司弁護士により発表】

改正法の精神反映
沢登俊雄・国学院大名誉教授(少年法)の話

昨年施行された改正少年法では、裁判官と調査官が被害者から意見を聴取できるよう明記された。今回の決定で、被害者のニーズを確認した上で贖罪行動を開始するよう促しているのは、改正法の精神を反映したものだろう。

決定は全体的に、少年院に対して数々の注文を付けているが、処遇を延長する理由付けについて、裁判官が苦心した跡がうかがえる。国民の注目度の高い事件だけに、決定要旨を公表したのは妥当な措置だろう。

【】内は掲載者による追加
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