講師からのメッセージ ― 2005年度社会福祉士全国統一研修 ―

共通講座「地域支援」 地域における総合相談

池田 恵利子 氏(いけだ後見支援ネット 代表)
 ― 京都会場,大分会場,高知会場,埼玉会場 ―
社会福祉専門職である社会福祉士の皆さんに、今求められていること、そして今後求められるのは、どのような専門性なのでしょう。社会福祉士はどのようなアイデンティティをもち、どのような支援をしていくべきなのか、について、自分達で明確な像を描き、夢を持って望んでいきたいと思います。
島野 光正 氏(星ヶ丘在宅介護支援センター)
 ― 広島会場,宮城会場 ―
現在福祉分野では地域や地域生活、利用者主体、自立支援ということが重要なキーワードになっています。そして地域生活支援を考えたときにソーシャルワークは不可欠です。私たち社会福祉士は「どこにいるか」ということではなく、どこにいても「何をしているのか」ということが大切になっています。「地域における総合相談」ということを通して昨年、今年度の本会のテーマである地域生活支援について考えていきたいと思います。
山本 たつ子 氏(天竜厚生会 常務理事)
 ― 北海道会場,愛知会場 ―
社会福祉を取り巻く環境が、大きく揺れ動いており、規制緩和や地方分権の流れは、私達のこれまでの経験からは想像しがたいスピードで進展しています。こうした時代にあって、社会福祉士がその力量を十分発揮して地域支援を実践することが期待されています。こうした地域支援、主に総合相談についての基本的な考え方や具体的な内容について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

シンポジウム「福祉権利」 虐待防止のネットワーク

各開催地からシンポジストが選ばれ、地域の特色をもったシンポウムが開催されます。コーディネータは次の方々です。

高山 直樹 氏(東洋大学 教授) 広島会場,高知会場
見平  隆 氏(みひら社会福祉士事務所) 北海道会場,京都会場
山口 光治 氏(淑徳大学 助教授) 愛知会場,大分会場
山口 康二 氏(山形県立総合コロニー希望ヶ丘 所長)  宮城会場,埼玉会場

選択講座1「生活構造」 利用者の生活をとらえる視点

新保 美香 氏(明治学院大学 助教授)
 ― 京都会場,埼玉会場 ―
社会福祉士にとって必要な、「生活をとらえる視点」を、参加されたみなさまとともに、それぞれの持っているちからを出し合いながら、あらためて見いだし、磨いていきたいと思います。楽しみながら、一緒に取り組んでいきましょう!
高山 恵理子 氏(上智大学 助教授)
 ― 京都会場,宮城会場,埼玉会場 ―
社会福祉士は、利用者の生活を支援することを仕事としています。しかし、それでは“生活”とは何か?と問われると戸惑いを感じるのではないでしょうか。このセッションでは、皆さんとともに次の2点について考えていきたいと思っています。第一点は、生活とはなにか。生活はどのようにして成り立っているのか、ということについて。そして、第二点は生活を支援する専門職である社会福祉士は、利用者の生活に関わる際、どのような点に留意する必要があるのか、ということについて。皆さんの積極的な参加を期待しています。
中村 佐織 氏(京都府立大学 助教授)
 ― 北海道会場,愛知会場,大分会場,高知会場 ―
「生活」自体は日常よく使われる言葉です。しかし社会福祉士の『生活理解』や『生活問題支援』は、専門的科学的基盤となるものです。それゆえ専門家である社会福祉士の皆さんは、まず100人の人間がいれば100通りの生活があることを理解することが前提となるでしょう。そこでこの講座では、アセスメント方法による事例考察から個別的生活理解や生活問題支援へ の思考方法を一緒に考えていきたいと思います。
吉川 かおり 氏(明星大学 助教授)
 ― 京都会場,広島会場 ―
生活構造の講座を担当する吉川です。生活の諸要素を総合的に捉える視点について、ライフステージ・生活課題・支援領域・生活構造という4つのキーワードを用い、ICFに示される生活機能の構造図を使いながら考えていきます。講義2時間、演習3時間を予定しています。演習では事例に基づいてグループ討論を行いますので、参加者がそれぞれ事例を用意して臨んでいただくとより深い理解が得られると思います。

選択講座2「対人援助」 困難事例に対する援助方法

荒井 浩道 氏(創造学園大学 講師)
 ― 京都会場 ―
困難化した「問題」を抱える個人や家族に対峙するとき、ソーシャルワーカーに求められる「専門性」とは何でしょうか。「問題」に対する私たち専門職のアプローチは、ともすると「問題」の「問題性」を強化する危険性を孕んでいます。この講座では、ポストモダン的関心から「問題」を脱構築し、当事者の視座に立った援助を行うための知識や技法について学習していきたいと思います。
川島 恵美 氏(関西学院大学 講師)
 ― 宮城会場,愛知会場 ―
「困難事例」という時、まずは誰にとって困難なのかを押さえることから始める必要があります。解決の糸口が見えにくい事例であっても、パートナーシップ、エンパワメント、問題指向から解決指向へのシフトなどをキーワードに、皆さんのご経験も織り交ぜながら“希望の持てる援助”になるかかわり方を考えていきたいと思います。
空閑 浩人 氏(同志社大学 助教授)
 ― 埼玉会場 ―
援助者は誰でも、難しい事例に直面して、自らの力量のなさを痛感する体験をします。それは、援助者にとっては確かにつらいことですが、その後の利用者との援助関係を築き、援助を進めていくうえで、実はとても意味のある体験であるとも考えられます。本講座では、援助者自身が自らと向き合いつつ利用者の状況を理解し、その「力」を評価し、支えるプロセスとして、「困難事例」への援助過程を捉え、援助の進め方についてみなさんと一緒に考えていきたいと思います。
今堀 美樹 氏(大阪体育大学 講師)
 ― 広島会場 ―
これまで出会った事例の中で、困難だったと思い起こされるのはどのような事例でしょうか。問題解決の糸口が見出せなかったり、対応の効果が得られず自分自身の力の無さを痛感するという経験は、援助者の誰もが持っているものでしょう。しかし振り返ってみると、そうした困難事例との出会いが自分自身の援助者としての可能性と限界とを教え、専門性の向上を目指すエネルギー源となっているのではないでしょうか。演習では参加される皆さんとそうした困難事例との出会いを語り合い、困難事例に対する援助方法の重要な要素について確認し合い、新たな力を獲得する“場”を共有し合いたいと願っています。
長田 貴 氏(甲子園大学 助教授)
 ― 京都会場 ―
「これは困難なケースだ…」とひとりでつぶやいたり、誰かに話したり…。現場実践の中では誰もが普遍的に直面することです。私たちは対人援助の専門家です。何が困難なのか、そして、困難さが生じた要因は何なのかを自分自身の外側だけでなく、内側にも目を向けて確認・整理作業を行う必要があります。その上で方法論へとつながっていくのです。今回は、困難事例検討(演習)を通しての確認・整理を行い、これからの援助活動につながるよう、みなさんと協働作業していきます。
根本 久仁子 氏(聖隷クリストファー大学 講師)
 ― 大分会場,高知会場 ―
「困難事例」といったとき、みなさんのなかにはどんなことがらが思い浮かんでくるでしょうか?この演習では、まず「困難」ということの中身や背景、ソーシャルワーカーにとっての意味などについて、さまざまな角度から考え、整理してみたいと思います。そしてソーシャルワーカーがいまの自分のできるところから取り組む方法について、考えてみます。演習は少人数のグループでの話し合いや作業をとおしてすすめます。みなさんの日々の実践のなかからともに学びあい、新たな気づきや示唆を得られる時間になったらと思います
山辺 朗子 氏(龍谷大学 教授)
 ― 北海道会場,埼玉会場 ―
多くのニーズがありどう介入して行ったらよいかわからない、介入の糸口がつかめない、支援を続けているのだが状況に変化がない、利用者や家族の方との関係が構築できない、チームワークがとれないなどソーシャルワーカーの周りには困難事例と呼ばれるケースが山積しています。私たちはこのようなケースに遭遇したときに様々な考え方や介入方法のレパートリーを持ち、最も適した方法で支援していかなければなりません。このような困難事例のいくつかをもとに具体的に援助を展開していく方法を共に学んでいきましょう。

選択講座3「実践研究」 講師による個別テーマ

新崎 国広 氏(大阪教育大学 助教授)
テーマ 頭と心と身体で学ぼう!?
      ― ソーシャルワークにおけるコーディネーション技法 ―

 ― 京都会場,宮城会場,埼玉会場 ―
コミュニティソーシャルワークを展開していくプロセスの中で、他機関や地域住民・ボランティア等の異なる考え方をもった人々との協働は、必要不可欠です。しかし、協働参画型福祉が提唱されている現在においても、実質的な協働参画に至っていない現状があります。このような現状を踏まえ、コーディネーション技法の“開く・つなぐ・結ぶ”の楽しさと意義を参加体験型研修を通して一緒に学んでいきましょう。
植田 寿之 氏(梅花女子大学 講師)
テーマ 対人援助のスーパービジョン
      ― よりよい援助関係を築くために ―

 ― 愛知会場,高知会場,埼玉会場 ―
スーパービジョン関係は、援助関係のお手本になります。ソーシャルワークをはじめ対人援助が援助関係を軸として展開されることを考えると、スーパービジョン関係のあり方がいかに重要であるかがわかります。本講座では、2つの関係の関連を追及し、関係という切り口から質の高い対人援助の実践に向けた手がかりを見つけていきます。
川上 富雄 氏(川崎医療福祉大学 講師)
テーマ 日常業務の中からソーシャルワーク実践を抽出する
   ― 実習指導を想定した伝えるべき社会福祉士像の明確化のために

 ― 北海道会場,京都会場,大分会場 ―
この講座では、(日本社会福祉士会実習指導者養成研究会での「伝えるべき社会福祉士像」や「ソーシャルワーク実習とは何か」を明らかにしてきた成果を踏まえ、)社会福祉士・ソーシャルワーカーとしてのアイデンティティや実習指導・新任研修等を通じ後継者にソーシャルワーク実践の専門性を伝達していく力量を高めるために、分野・種別のグループに分かれ、皆さんの日常の各種業務に埋没しているソーシャルワーク実践を抽出する作業を行います。また、単に業務・行為の抽出に終わるのでなく、その遂行にあたっての視点、価値、技術、理論などについても話し合います。
木本 明 氏(東京家政学院大学 助教授)
テーマ 日常の社会福祉実践と社会福祉教育との「乖離」について考える
 ― 広島会場 ―
僕は通信制課程で社会福祉主事資格を取得して、翌4月から福祉事務所に勤務した際に、勉強してきたことと、実際の福祉事務所の状況との“乖離”に戸惑いました。その後、社会福祉士実習に来る学生さんとお話した際にも、その“乖離”がその後も続いている…と思いました。何とかしなければならないのではないでしょうか?今回はこの“乖離”に対して何をどうしたらよいのか、皆さんと一緒に話し合い、考え合いたいと思っています。
保正 友子 氏(立正大学 助教授)
テーマ ステップアップ実践記録!!
      ― 「見る」「書く」「伝える」ための理論と手法 ―

 ― 京都会場,愛知会場 ―
利用者・関係スタッフと記録を共有する際の理論と手法を学びます。具体的には、記録についての講義を行った上で、観察する技法、情報を引き出す手法、書く技法等についての演習を行います。日頃書いているご自分の記録を見つめなおし、実践の質的向上をはかる機会にしていただければと思います。

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(社)日本社会福祉士会 生涯研修センター
更新日 2005.07.18