君が余話

「パパ、きょうガッコで『君が代』っていう歌教わったけど、意味わかんないや」

--ああそれはだな、まず、キミがいるわけだ。

「たまごの?」

--ん?・・・まあ、カラに閉じこもってて、どろどろ、ぐちゃぐちゃな白いやつに取り囲まれてなあ・・・いや、このキミというのは、天皇のことだ。

「先生はそうじゃないって言ってたよ」

--そうだろうな、政府が見え透いたうそをつくと、学校の先生もそんなことを教えるんだな、まったく、しょうがないな・・・

「なに言っテンノゥ、ぶつぶつと・・・」

--そんな天皇がいたかな?? ンで、その君がヨワになるとだ、

「あ、弱くなっちゃったの、病気だね」

--そう、だからまた強くしてやろうなんていう連中が出てきたりする・・・いやそうじゃない。このヨワというのは、夜中のことだな。そこで、千代に八千代という人たちが出てくるわけさ。

「あ、それお相撲さんだね。九重部屋だ。千代の富士に八千代の海とかさ」

--それで天皇が四つに組んで・・・。

「残った残った」

--いやいや、ここでの相手は女の人たちだ。

「えっ、天皇と女の人たちがお相撲とるの? ずるいじゃない。天皇って男でしょ、勝てるに決まってるよ、卑怯!」

--そうだ、天皇は卑怯なんだ・・・いや、これは相撲じゃあない。さあ、とざれるわけだ。

「ザレルって?」

--たわむれるんだ。苦しうない近う寄れ、とかね。すると、あれえ、上様、おたわむれを〜〜と。

「あ、それ、よく水戸黄門でやってるやつだね。みんなあそこだけは、ちゃあんと見てるんだよ」

--いやだな、まったく子どものうちから・・・まあ、そんなものだけどな。
 で、ともかく、そうやってたわむれると、十月十日で石がいわおのごとくふくらんで、コケの息子や娘がごろごろできるまでになる。以上をまとめると、
 君が夜半、千代に八千代にささと戯れ、かくては石もいわおとなりて、虚仮の〜む〜す〜」

「あ、わかった!」

--なにが?

「それで、二世や三世のこと、コウケイ者って言うんだね」

 君が代の真義を解き明かす、反時代落語の一席でございます。

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